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触診力

身体を触って治す仕事はいろいろあります。医師しかり、我々、鍼灸や按摩、オステオパシーをする人しかり、カイロプラクティックや整体をする人しかり、ですね。
医師は最近触ってみるという人がほとんどいなくなりました。聴診はするかもしれないけど、お腹をトントン叩いてみる先生はほとんどいません。あれは打診といいますが、なぜしなくなったのか。しなくてもCTやMRI、血液検査などでわかるから、といえばそれまでですが、それ以前に、練習しないからできなくなってしまった、というのもあるように思います。
さて、では私のような手技療法をする人種は、やはり触ってなんぼというか、触らないと仕事になりません。しかし、ただ触って治すのではなく、その前段階として、触って調べなければなりません。いわゆる触診です。
ところがこの触診のできる人が、実は極端に少ないんです。
ツボを探すときもそうです。ツボは生き物です。ぐいぐい押したり揉んだりすればどこかに行ってしまいます。正確な位置を探ることはできません。そっと皮膚に触れ、ごくごくわずかに圧を入れ、ツボの位置を割り出します。ヘタな治療家は、ぐいぐい押したり揉んだりして調べるのですぐわかります。
ツボ以外でも身体のどこかを触診するときに、ムダに力を入れる人はまず触診できない人です。つまり治療できません。
例えば背中に手の平を当て、筋肉の緊張を探ろうとします。すぐれた治療家はその瞬間にどこに問題があるかを知ります。筋肉は、一重ではなく、何層にも重なっています。その一番下に肋骨なりの骨があり、肋骨の間にも筋肉があります。骨と骨は靱帯などで繋がっています。手の平を当て、ごくごくわずかに圧を入れ、それでどの深さのどの筋肉に緊張があるか、どっちの方向に引きつれているか、或いは背骨のどの部分に動きの制限があるかなどを判断します。逆に、それくらいの触診力がないと、本当にすぐれた治療はできません。
それに対し、ヘタな人は、筋肉を見つけるためにぐいぐい押したり揉んだりとたいへんです。もっとヘタな人はそれでもわからないから、数打ちゃあたるとばかりにやたらめっぽう治療範囲を広げ押したり鍼をしたり、もっともっとひどい人は、思いっきり何カ所か押して「どこが一番痛いですか」と患者に聞いたりします。こんなのでは本当の治療はできません。

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